看取りの時 ~究極のホスピタリティ

企業研修会社を経営する人材育成コンサルタントです。大切な家族の旅立ちを看取った経験から気づいた「超高齢化社会の課題」や「看取りという究極のホスピタリティ」についてお伝えします。

私たちの死に関する未来予想図

 

 

私は愛する家族を「看取る」ということに初めて向き合いました。

そこでとても危機感を感じたこと=ブログを始めようと思った

キッカケになったことがあります。

 

それは

「将来、病院にも施設にも入れない死に場所難民が出てくる可能性がある」

ということでした。

 

 

もちろん政府がこのような発表をしているわけではなく

様々な現状を総合的に考えたら「たしかにそうなるかも!」と

私が勝手にザワザワしているのですが

とは言え、経験則からあまりに腑に落ちることなので

つたない言葉でお伝えしたいと思います。

 

◆背景1、病院の現状

 

病院の一般病棟は常に満床です。

祖母が救急搬送されたときも、かかりつけの病院も含め2件の病院から断られました。

入院したとしても、急性期を過ぎると概ね退院を促されます。

でもね、それは生きる為の病院だから、当然のこと。

少なくともこれまで祖母がお世話になった病院は

できる限りのことを精一杯してくださいました。

 

◆背景2、日本の少子超高齢

 

現在でも男性4人に一人が高齢者、女性3人に一人が高齢者です。

1 高齢化の現状と将来像|平成29年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府

それに伴い

高齢者施設は有料ホームの一部を除いて

満室だったり入居条件に制限があるところが多いのです。

つまり今でも簡単には入れないということ。

高齢者が増える未来に、これが解消されているとは思えないのです。

 

◆背景3、労働人口の減少

 

病院(特に過疎地域)や介護業界は人手不足で立ち行かなくなっていきます。

施設に部屋はあるけれど働く人が居ないから入居を断っている

提供サービスの制限が付く、これが現実だと感じています。

介護業界では、外国人就労者受入れ制度がスタートしましたが

この制度の目的は「母国へ日本の介護スキルを持ち帰ること」。

つまり日本での長期的な雇用にはまだつながりません。

 

「病気になったら当たり前のように病院に入院し、最後は病院で旅立つ」

 

それが出来た祖母は、もしかしたら幸せなのかもしれません。

 

◆背景4、家族の在り方の変化

 

では病院が無理なら自宅で最期を迎えることができるのか?について。

 

私が子供の頃、自宅には半分寝たきりの曾祖母がいて

リビング(茶の間)の横の和室に布団を引いて横になっていました。

今おもえばまさに介護状態です。

そしてある日、学校から自宅に帰ると曾祖母は亡くなっていました。

とても自然な旅立ち方です。

 

でも、核家族化が進み

または結婚しているけれど子供のいない夫婦(私はまさにこちら)

そして自立した未婚のおひとりさまが増えている現代

持ち家はあっても家族に看取られて旅立つなんて・・・まず無理。

それは容易に予測できます。

 

では、どうしましょう? 「準備」と「対策」はあります。

 

それらに気づいた時

できることなら避けて通りたい「自分の死に方」「家族の送り方」と

早いうちに(思考も感情も受け入れやすいうちに)向き合うことが

未来の自分や愛する家族を守ることに繋がるのかもしれない

と思いました。

 

今回はネガティブな要素ばかりを記載していますが

全てに「準備」と「策」はあります。

今後、そのあたりもお伝えしていきたいと思います。

 

同じ体験をこれからする人達へ

 そして最近、私の周りで家族を見送る方が急に増えました。

 

経験して思います。

家族の見送り方も人それぞれです。

その時に抱く感情や心のダメージも、人によって全く異なります。

 

死ぬほど泣き続ける人もいれば

事務的に葬儀の手続き進める人もいるし

笑顔で送り出す人もいます。

 

でも全てに共通するのは

「人を見送ることは、何かを学ぶ大切な時間である」ということ。

祖母は最後の命を使って、その事を私に教えてくれました。

 

そんな機会を与えられた人達が

後悔なく家族を送り出せますように。

送り出す最中にどうしようもなく辛くなったら

寄り添うことができますように。

 

そんなことを願いながら、この場所を続けていければと思います。

 

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看取りの時、私はできる限り祖母の手を握り、触れ合っていました。

祖母は「死」を感じていたと思うのですが

不安を言葉にすることはありませんでした。

あの時は聞けなかったことを祖母に尋ねてみたいです。

「死ぬかもしれないと思って怖くなかった?」

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